6月9日の美人の日本語は
「蝸牛」です。
実は、「かたつむり」という生き物はいないんです!
……ちょっと極端な言い方をしました(笑)
生物学的な分類として「かたつむり」という言い方はなく、日常語として陸生の貝類のうち殻があるものを「かたつむり」、退化してなくなったものを「なめくじ」と読んでいるんだそうです。
ナメクジは「ナメクジ科」がありますが、カタツムリは「マイマイ科」です。
移動速度が遅くて遠くまで移動できないので、種の分化が進みやすく、日本でも800種! もいるそうです。
そして蝸牛といえば、言葉に携わるものにとって興味深い話があります。
柳田国男の「蝸牛考」です。
柳田国男は蝸牛を指す方言が、近畿地方では「デデムシ」、中部地方や中国地方で「マイマイ」、関東地方や四国で「カタツムリ」、東北地方と九州の一部で「ツブリ」、東北地方北部と九州西部では「ナメクジ」と、近畿地方を中心として同じ方言が同心円状に分布することを発見しました。
これはかつて文化の中心であった京都での言葉の変化が、周囲に伝播していったことを表します。
一番古い「ナメクジ」という表現が、時間を掛けて九州や東北まで伝わり、より近い場所には新しい呼び名が伝わっているということですね。
これを方言周圏論といいます。当たり前といえば当たり前のことですけど(笑)
逆に考えると、九州には古い京都の文化が残っている可能性があると考えられるわけです。
遠い宇宙を調べると、ビッグバンの痕跡が見つけられるのと同じです。
今では、放送やネットの発達で、この方言周圏論的な考察はしづらくなっているでしょう。
かたつむりの渦巻きのように、ぱっと中心を見つけるのは難しいですね。
でも、どこでもだれでも中心になる可能性が増えたのも、間違いないと思うのです。
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